「こんなことで相談に行ってもいいの?」
こころのセルフケアなどの市民講座を、年に何回か担当させていただく機会があるのですが、講座終了後に、個別でよく聞かれる質問が2つあります。
ひとつは、
「わたしのような相談はどこに行けばいいのでしょうか?」
もうひとつは、
「こんなことで相談してもいいのでしょうか?」
という質問です。
私より大変な人がいっぱいいるのに・・・
ひとつめの相談に関しては、現状を簡単にお伺いしてから相談窓口をお伝えしたり、
参考になりそうな書籍や、調べる時に役立ちそうなキーワードなどをお伝えしたりしています。
ふたつめの「こんなことで相談してもいいのでしょうか?」のほうは、
私より大変な人がいっぱいいるのに
私のような小さな悩みで相談に行ってもいいの?
というご質問であり、
「こころの悩みは大きいいとか小さいとか、誰かと比較できるものではなく、ご自身が困っていることに気づいていることが大事です」
というようなことをお伝えしています。
例えば、同じ状況にあったとしても、ある人は「まぁ、なんとかなるだろう」とやりすごせることかもしれないけれど、ある人にとっては、そのことに一日中とらわれてしまって、他のことが手につかない、ということだってあります。
実際、「こんな小さな悩みで・・・」とおっしゃる方の話をよくよく聞いてみると、よく今まで持ちこたえていらっしゃいましたと、驚くことの方が多いです。
ご自身では、ガマンすることが当たり前すぎて、「こんな小さな悩みで・・・」と考えてしまう一方で、
心や体はいっぱいいっぱいで、悲鳴をあげていることが多いのです。
話すことはまとまっていなくても大丈夫
カウンセリングルームは、
こころに重い荷物を抱えたまま歩んでいる人たちが、
ちょっとだけ肩の力を抜いて話ができる場所です。
まずは、
自分の中のモヤモヤやザワザワを、
言葉にならないまま感じてみたり、
どこから話したらいいかわからないような、
混乱したものを吐き出してみることで、
悪く考えてしまうだけだったものが、少しだけ形をかえたり、解放への光が見えてくるかもしれません。
話すことはとても大事なことだなと思います。
混乱したものに言葉を与え、もつれをほどいていくことで、
ようやく、自分のエネルギーを取り戻しはじめます。
そこから、
自罰的ではない自身へのかかわりや、犠牲的ではない他者とのつながりへと、進んでいきます。