「何をやっても続かない・・・」〜意思より大切なこと〜
「三日坊主」。
人生の中で、何度この坊主と出会ってきたことだろう。
ギター、和太鼓、太極拳、ジム、木彫り、テラリウム・・・
どれも長続きせず、何も身についていない。
中でも英会話は、百人力のダメ坊主。
学生時代の英語赤点コンプレックスを解消しようと、社会人になってから駅前留学、個人レッスン、CD教材などなど、相当いろいろやってきたが、日常会話すらおぼつかない。
むしろ自己嫌悪力のアップに貢献・・・。
なのになのに、この夏、再び坊主がやってきた。
涼みに入った本屋で衝動買いしてしまった、「ラジオ英会話」。
今年度のシリーズは、表紙がイラストでかわいい。
早速、家に帰ってパラパラ見ていると、意外にも巻末のコラムやマンガが面白い。
中でも、為末大さんのインタビュー記事には、今の自分に突き刺さる、天啓のようなお言葉が並んでいた。
「熟達」のための5段階
その記事には、プロ棋士やピアニストなど、為末さんがある境地に達した人たちに話を聞く中で発見した、「熟達のための学び」の5段階、が書かれていた。
その5段階とは、「遊」「型」「観」「心」「空」。
1つ目の「遊」は、いろいろなことをやってみたり、不規則さを面白がったりする段階。
2つ目の「型」は、基礎的・基本的な技術や知識を体得する段階。
とにかく繰り返して、量をこなすことが必要となる。
3つ目の「観」は、「型」何度も繰り返すことで、細部が見分けられるようになり、構造が理解できるようになる段階。
4つ目の「心」は、自分の個性やクセを知り、それを学びに生かす段階。
5つ目の「空」は、最終的に意識しなくても体が動き、夢中になって取り組める段階。
この5段階を行ったり来たりしながら習得するのが、為末さんによる学び方の法則である。
そしてここに、私の習い事が続かない大きなヒントがあった。
「型」を学ぶ前に「遊ぶ」が大事
何かを始めるとき、道具を揃え、準備万端にしてから、さあやるぞ!と鼻息荒くスタートし、いきなり根を詰めるタイプ。
実はそこに落とし穴があった。
「形をしっかり身につけることも大切ですが、繰り返すだけだと飽きてしまいモチベーションが保てません。しかも、あるやり方は上手にできるけれど、条件が変わって応用が必要になるとうまくいかないといったことが起きるんです」
「型」から入って「早すぎる最適化」をしてしまうと、応用が効かなくなって、のびのびと楽しめなくなってしまうという。
もちろん、基礎・基本の習得は大事なのだけれど、
自分のスキルに柔軟性を持たせるには、いろいろと試行錯誤する「遊び」の段階が必要で、
それがないと、「自分で自分の殻を破れず、ある状態で止まって、伸び悩みやすい」という。
あー、まさしくコレよ、コレ。
私には、本当に「遊び」がない。
もちろん、楽しそうだし、身についたら世界が広がりそうでいろいろ始めて見るのだけれど、
すぐに、
「ちゃんとやらなきゃ」とか、
「うまくできなければダメ」という思い込みが強すぎて、
いつの間にか、肩に力が入って、続けることが苦しくなってしまう。
でも、最初に「遊び」の段階があると、
「楽しんでいろいろとやってみるところから学びに入っていくことができます。その先も「これをやったらどうなるんだろう?」と、実験しながらやってみる遊び感覚を持ち続けることができますし、型にとらわれず思い切りやる感覚も身につきます」
自分がいいなぁと思う人は、本当にこの、“遊び感覚”を持っている。
ではでは、私のような、遊び下手の人が、簡単にこの“遊び感覚”を取り入れるにはどうすればいいのか?
それは、ちょっと「ずらす」といいらしい。
例えば、陸上をやっていた為末さんの場合には、トレーニングする場所をいつもと違う場所(砂浜や地面がでこぼこした不整地など)にしてみることで、さまざまな体の動かし方を学ぶことができたという。
なるほど、ずらすって、きっとパターンを崩してみるということなのね。
学ぶ喜び
もうひとつ、心にグッサリきたフレーズがある。
それが、「挫折したときは『なぜうまくいかなかったのか』ではなく、『これで何を学んだのか』と自分に問いかける」という部分。
スポーツでも習い事でも、中だるみやスランプはあるもの。
そんな時に、反省だけだと「挫折=失敗」となってしまうけれど、「何を学び、得たのか」と考えると、挫折も前向きなものになって、そこに「学ぶ喜び」が生まれてくる。
んー、確かに、反省は得意だけれど、そこで何を得たのかっていうところまで視点が広がってなかったなぁ。
「うまくいかない=ダメ」って直結してた。
そしたらすぐに嫌になっちゃうよね。
そんなわけで、今週から始まった「ラジオ英会話」は、気負いすぎず、ほどほどにやることにした。
いつもの60%くらいのゆるさかも。
「暗記しなければならない」という強迫観念も手放した。
赤ちゃんが言葉を覚える時のように、たどたどしくも、まねして繰り返せばいい。
ひとまず、3日の坊主ラインをクリアして2週目へ。
焦らず、自分を追い詰めず、テキトーに、
まずは「遊び」から。
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