「ひとりぼっち」から抜け出すために。
ファミリー・コンステレーション
孤立と孤独
生きづらさや、心の病気の根っこのひとつに、
「孤立」があります。
他者とのつながりが断たれている状態です。
自分自身の体と心(意識)のつながりが断たれていることもあります。
「孤立」と似た言葉に「孤独」というのもありますが、
孤独とは、自分を育ててくれるものでもあるので、
ちょっとだけ違います。
ウィニコットの言葉を借りれば、
孤独とは「一人でいられる能力」です。
沈黙の中で自らと対話し、自らとともにいる力。
それはまた、想像と創造の力を生み出す場でもあります。
孤独が続いて体を壊したり鬱になったりしてしまうのは、
そこに「孤立」があるからです。
人は誰もが孤独を抱えて生きています。
誰かに支えられていないと、孤独には耐えられません。
言いかえれば、孤独に耐えうる人は、孤立していない。
ひとりでいることができない時、人は孤立を深めてしまいます。
ひとりぼっちの負のループ
「孤立」とはつまり、
「私ひとり」で生きている状態です。
人に弱さを見せてはいけない。
人に助けを求めてはいけない。
(そもそも助けてなんてもらえないし…)
だから、ひとりでがんばるしかない。
そうやってひとりで頑張り続けるうちに、
心も体も消耗し、
何もかもが虚しくなってきて、
生きる意味がわからなくなって、
感じることをやめ、
心を殺して生きるようになる。
人によっては、
何かに依存することで、
一時の空虚を満たそうとしたり、
外の世界を敵とみなし、
他者を攻撃することでなんとか自分を保つこともありますが、
それらは結局、さらに孤立を深めてしまう。
かと言って、思い切って誰かを頼ってみても、
そもそも人との距離感がわからないから、
寄りかかりすぎて相手が離れていってしまったり、
相手がいなくなる不安に耐えられず、
自分からバッサリ切り捨てる。
そしてまた「ひとりぼっち」に逆戻り。
抜け出せない、負のループ。
それじゃ、
人とつながるって、どうすればいいのだろう?
自分とつながるには、どうすればいいのだろうか?
そのための心理療法が「ファミリー・コンステレーション」です。
全体性の回復へ
コンステレーションは、自分のルーツとつながることを助けてくれます。
両親、祖父母、生まれた土地、育った街、
会ったことのない祖先、自分の仕事、
自分のからだ、自分のあたま、そして自分の命。
自分を構成するものとのつながりを回復していきます。
それは、
「完璧な自分」を目指すことではありません。
問題をなくすことでもありません。
誰かを許す、ということでもありません。
痛みや弱さに直面できる力を取り戻し、
凸凹な自分のままで、
ただそこにいることができるようになること。
「自分の全体性を回復する」ということです。
内側の準備ができたところから、ひとつひとつ、
自分を構成するものたちとつながっていくなかで、
自分自身の輪郭と中心点が見えてくることを実感します。
特に「家族」=「命のルーツ」とのつながりを取り戻すことは、
「孤立」から抜け出す鍵となります。
それは、親を拒否するとか、許すとか、
そういうことではなく、
「等身大の自分に戻る」ということです。
等身大の自分に戻る、ということは、
「受け取る」という本来の子どもの居場所に戻るということです。
それが、「生きる力」につながります。
この「等身大」の感覚を体感できるようになると、
少しずつですが、
他者との適切な距離感がわかり、
自分にとっての喜びや、
本当に求めていることがわかり、
内側から湧き出てくる感覚をつかんで、
身を委ねることができるようになっていきます。
あるがままの自分のままで、
楽な関わりができるようになる。
それによって、
家庭内の問題や、パートナーシップや、人間関係や、
仕事や、お金との関わりが変化することがあります。
もちろんその行程は、すっきり完璧なものではなく、行きつ戻りつ。
葛藤し、壁にぶつかり、弱音を吐き、試行錯誤の連続です。
でもどこかで、それさえもが私の大切な人生なのだと気がつきます。
自分自身を大切に感じられる瞬間、
他者を愛おしく感じられる瞬間、
灰色でどんよりしていた景色が、
突然鮮やかな色とりどりの世界に変わります。
(実際、セラピーの後の変化として、「まわりがカラーに見える」とか、「視野が広くなった」と、視覚の変化を感じるかたは多いのです)
自分の速度で、人生を再構築する。
これまで、長い時間をかけて積み上げてきた人生なので、
セラピーを受けたからといって、
一瞬で何かが変化するものではありません。
どちらかというと、地道な作業です。
痛みを通過することもあります。
触れるには痛すぎて、
触れるには怖すぎて、
避けることでなんとか生き延びてきたことだってあるからです。
なので、回復のスピードは人それぞれ。
コンステレーションという座標を頼りに、
バラバラだったり、傷つけあってしまった家族に、
秩序と尊厳を取り戻すことで、
自分の人生を再構築していくための、
基礎となる土台を築いていくことができます。
まわりと比べることや、
外からの期待に応え続けることや、
自分を責めることを手放しながら、
自分自身とつながって、
他者や、社会とつながる橋をかけていく。
その先で待っているのは、
あなたを必要としている大切な誰かとの出会いです。
私たちは、そうやって、
支えあいながら生きています。
●ファミリー・コンステレーション
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